米国では肥満が急速に深刻化している。これに並行しするようにファスト・フードの消費量が急増しているが、肥満との関係には注意が向けられてこなかった。そこで米国などの研究者が、15年間のファスト・フード店利用頻度と体重およびインスリン抵抗性の変化の関係を調べた。詳細はLancet誌1月1日号に報告された。
 米国では、肥満が健康と経済に及ぼす影響が非常に大きな問題となっている。毎年30万人に過剰な死をもたらし、少なくとも1000億ドルの医寮費が過剰に支払われている。肥満した若者の増加は、糖尿病予備軍の増加を意味する。
 一方、ファスト・フードは1950年代に登場、1970年代には子供たちの総エネルギー消費量の2%を占めるようになった。1990年代になるとその値は 10%に達した。しかし、ファスト・フードが食事のエネルギー・バランスや体重に及ぼす影響は、ほとんど調べられていないのが現実だった。
 今回分析の対象になったのは、1984-2001年に米国で実施された青年期冠動脈疾患リスク進展調査(CARDIA)のデータだ。被験者として登録されていた白人と黒人の中から、1985-86年に18-31歳で、食事の内容に関する評価を繰り返し受けていた3031人を選出した。
 重回帰分析モデルを用いて、調査開始時点とその後15年間におけるファスト・フォード店利用頻度と、その間のホメオスタシス評価(HOMA)に基づくインスリン抵抗性および体重の変化の関係を調べた。
 ハンバーガー、ピザ、フライドチキンを販売する特定のファスト・フード店の利用頻度は、白人女性が最も少なく週に1.3回、それ以外の人は週2回程度だった。生活様式因子で調整後、白人黒人共に、調査開始時のファスト・フォード店利用頻度と体重の変化の間に直接の関係が見出された。ファスト・フード店利用頻度の変化とインスリン抵抗性の変化にも直接の関係が見られた。
 当初からずっとファスト・フード店の利用が少なかった人(週1回未満、 203人)に比べ、15年間頻繁に利用した人(週2回以上、87人)では、その間の体重増加の平均が4.5kg多く、インスリン抵抗性も約2倍になっていた。得られた結果は、ファスト・フードの消費が肥満と2型糖尿病の強力なリスク因子であることを示唆した。
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