2012年1月20日金曜日

肩こりに理学療法 【世田谷 口腔外科】

英国の研究者たちが、頚部痛(肩こり)患者に対する通常の理学療法と、短期の理学療法の効果を比較する非劣性RCTを行い、詳細をBritish Medical Journal誌2005年1月8日号に報告した。

 頚部痛はごく一般的な病気で、自己制御できる良性疾患と見られている。が、実際には、その治療に費やされる医療費は決して少額ではない。しかし、頚部痛に対する通常の理学療法の有効性とコスト効果については、ほとんど情報がない。系統的レビューも行われたが、決定的なエビデンスは得られていなかった。

 そこで今回、英Hull大学リハビリテーション研究所のJennifer A Klaber Moffett氏らの研究グループは、亜急性および慢性の頚部痛患者268人(平均年齢48歳)を、通常の理学療法(4回)を受けるグループと短期治療群に無作為に割り付けた。後者には、原則1回の理学治療(場合によっては、最高3回まで延長可能)と、自己管理を通じて速やかに正常な日常生活を取り戻すための認知行動療法を併用した。評価には、頚部痛に基づく機能的な不具合を調べる質問(NPQ)と、QOLを評価するSF-36、運動を恐れる度合いを測定するTampaスケールが用いられた。

 12カ月の時点で、短期治療群に比べ、通常の理学療法を受けたグループのNPQスコアに、小さいが有意な改善が見られた(平均差1.99)。だが、95%信頼区間が0.45-3.52で、非劣性範囲と考えられた。また、患者がどちらの治療を好ましいと考えるかによって、効果に明らかな差があった。全般的には通常治療の方が有効であったにもかかわらず、NPQスコアの改善度が最も高かったのは、短期治療を希望し、そちらに割り付けられた人々だった。また、通常治療を好むにも関わらず短期治療に割り付けられた人々には、NPQスコアの改善が見られなかった。

 以上の結果から著者らは、通常の理学療法は、短期的な理学療法に比べ、やや有効性が高かったが、患者によっては、より安価な短期治療でも、通常治療と同等の効果が得られる可能性があるとしている。また、理学療法士が認知行動療法技術の習得に努めれば、短期治療の効果はさらに高まるだろうと述べている。

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