急性脳卒中後、半身麻痺になった患者の血中ビタミンD代謝物を測定したところ、発症から間もない時期でも、患者の77%にビタミンD不足があることが示された。英Addenbrook病院のKenneth E.S. Poole氏らの研究成果で、詳細は、Stroke誌電子版に2005年12月1日に報告された。
脳卒中は、骨密度の減少や、カルシウムの恒常性を変化させて、股関節骨折リスクを増す。脳卒中後、長期生存している患者に、ビタミンD欠乏が見られることはよく知られている。しかし、急性脳卒中発症から間もない患者のビタミンDレベルについては、これまでほとんどデータがなかった。ビタミンD不足があれば、骨折リスクはさらに上昇する可能性がある。
Poole氏らは、初回の脳卒中で急性脳卒中ユニットに入院した患者から、認知障害、失語症、骨疾患、腎不全または肝不全の患者、股関節骨折既往者、ステロイド治療中の患者などを除外し、44人(脳梗塞36人、脳出血8人、平均年齢73歳)を選出した。これらの患者はCTで脳卒中と診断され、下肢を含む半身の麻痺があり、発症から1週間後も歩行不能な状態にあった。
対照群として、96人の健康な高齢者ボランティア(平均年齢69歳)の血清25OHD値を2カ月おきに1年間測定。季節的な25OHD値の変動のパターンを調べ、正常域を決定した。
発症から30日以内に採血し、血液中のビタミンD代謝物(25OHD:25-ヒドロキシビタミンD)レベルを放射免疫測定法により評価した。患者群の測定値を季節的な変動で調整した後、血清25OHDのZスコア(個々の患者の測定値と、健常人ボランティアの測定値の平均との間の標準偏差)を求めた。それらの平均は-1.4SD(95%信頼区間-1.7から-1.1)で、健常人より有意に低かった。患者の77%は測定値は50nmol/L未満で、健康な生活に必要なレベルを下回っていた。健常人の平均を上回った患者は3人だけだった。
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