2012年1月20日金曜日

統合失調症とシナプス 【世田谷 歯科】

British Medical Journal誌2005年1月20日号のEditorialで、英国の精神医学の専門家らが、近年の統合失調症関連遺伝子に関する研究を総括、グルタミン酸作動性シナプスの異常がこの病気の発症に関わる可能性を示した。

 統合失調症の原因と病態の理解は、いまだに精神医学領域における困難な挑戦の一つになっている。原因を説明するため、ドーパミン仮説やグルタミン酸仮説などが唱えられてきたが、近年、感受性遺伝子候補が複数発見されるなど、新たな局面を迎えている。

 統合失調症との関係が明らかな遺伝子の多くは、直接的または間接的にグルタミン酸シナプスの機能に影響を与える可能性を持っている。具体的には、 dysbindin-1、neuregulin-1(NRG1)、D-アミノ酸オキシダーゼ(DAO)とこれを活性化するDAOA(旧名G72)、G蛋白質信号伝達4調節因子(RGS4)などをコードする遺伝子だ。例えば、dysbindin-1は、シナプス小胞へのグルタミン酸の取り込みに影響すると考えられる。つまり、統合失調症では、シナプス、特にグルタミン酸作動性のシナプスに最初に異常が現れ、続いて神経回路の下流に異常が起こると考えることができる。

 シナプス仮説は、以前から研究者の関心を集めていた。遺伝学的知見は、この仮説を証明するための研究を進歩させるだろう。

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