睡眠によって学習記憶が強化される現象は広く見られます。
しかし今までこの睡眠効果は、その場で学習した事柄のみに限定されており、新しい状況下での同様の行動をうまくとれるように学習した技術を一般化する際については確かめられていませんでした。 
アメリカ、シカゴ大学のキンベリー・M・フェンらは、コンピューターで合成した言語を聞き取らせる実験を行い、最初、合成言語は聞き取りにくく正確に聞き取れる率は低いが、繰り返し聞き取らせることによって正答率は上昇しました。
この時、同じ言葉は2度と聞かせませんでした。
つまり被験者は、学習した聞き取り技術の一般化を行ったと言えます。
1度の学習で正答率は約30%から50%へと20%上昇しましたが、再テストまでの間に12時間起きている時間をあけると上昇率は10%に半減しました。
しかしその12時間寝ていた場合、上昇率は20%のままで低下しませんでした。
さらに、学習後12時間起きていて1回目再テストを行い、その後12時間寝て2回目再テストを行うと、1回目再テストで低下した成績上昇率が12時間睡眠によって2回目再テストでは回復していました。
また、正答率と学習する時間帯との間に関連は見られませんでした。
 
一般化を含めた学習において、睡眠は、記憶の固定を邪魔あるいは遅延から守る働きと、失われた記憶を回復させる働きの少なくとも2つの効能を持っているそうです。
 
学習に関する脳の部位において、記憶の呈示と固定の改善と安定化が、睡眠中に行われているのではないかと博士らは考えています。
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